免疫力アップでコロナウイルスと戦う!

免疫力アップでコロナウイルスと戦う!
― 顎ずれ矯正治療の効果とそのエビデンス―


栗本武俊 栗本慎治 澤口俊之 丸山剛郎の共同研究より

コロナウイルスが世界を席巻している中、我々人類は細菌・ウイルスに屈してしまうのでしょうか?
今、多くの研究者がコロナ撲滅のためにワクチンや新薬の開発に取り組んでくれています。ひたすらワクチン開発を待つのみでしょうか?
いいえ!我々には強い味方があることをご紹介します。

それは、人が持つ免疫力を上げることです。
免疫力とは、読んで字のごとく、疫(病気)を免れる力のことを言います。

みなさんも聞いたことがあるかもしれません、私たちはNK細胞という免疫細胞を持っています。NK細胞は、体内にウイルスが侵入するなどの異変を察知すると、真っ先に細菌にアタックしてくれます。

人間は1日に1兆個の細胞が作られています。その中で5千個ほどの不良品、いわゆるがん細胞が出来てしまいます。
このがん細胞をせっせと食べてくれるのもNK細胞です。
我々癌にならずにすんでいるのは、このNK細胞のおかげといっても過言ではありません。しかしNK細胞の活性(ウイルスや癌細胞を攻撃するパワー)は、20歳代をピークに40歳代になると半減し、70代では1割程度まで低下します。このことは、中高年がコロナで重篤化したり、発癌率が上がるのと関連しています。

NK細胞の弱点は、ストレスが続くと活性力が落ちるという特徴を持っています。ストレスの多い人が、抵抗力が落ちたり、癌にかかりやすいというのもこのためです。
一般的にNK細胞を増やすには、よく笑うこと、よく寝ること、有酸素運動などがよいと言われています。これらができれば苦労しないのですが、運動嫌いな人、ストレスが多い人、不眠症の人に、打つ手がないのでしょうか?大丈夫!!
顎ずれ矯正治療で、免疫力アップ、不眠解消、ストレス軽減されることが、私たちの研究から証明されましたので報告します。

まず研究1として、顎ずれ治療前・後で、免疫力で大変重要なNK細胞活性に変化があるのかを検証しました。(特定非営利活動法人 特定非営利活動法人 日本咬合学会 21回大会報告)

研究の方法は、丸山剛郎大阪大学名誉教授の指導のもと、和歌山県御坊市のくりもと歯科医院で顎ずれ治療を行ない、この研究に同意してくれた40歳以上の患者さんに治療前と治療後でNK細胞の活性を調べました。
(治療前に活性力が高かった人は省き、活性力の弱かった24名の患者さんを調べました。)

研究1の結果を下記の図1に示します。咬合是正前とは顎ずれ治療開始前の状態で、活性力が平均約28%でしたが、顎ずれ治療終了後、20歳レベルの活性力40%に対して40〜70歳の方々の平均が35%を超えました。顎ずれ治療後にNK細胞活性が20歳レベルまで改善し、免疫力向上に効果があることが分かりました。

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(図1)
分析は澤口俊之武蔵野学院大学大学院教授による

もうひとつ免疫力に大きく関係するホルモンに、コルチゾールがあります。私たちのからだは、健康を維持するために神経系、内分泌系、免疫系が連動して働くような仕組みになっています。特にストレスなど心(精神)と免疫について言えば、脳内からでる内分泌系ホルモンが密接に関係しています。

ストレスにも良性のポジティブストレスと悪性のネガティブストレスがあります。良性ストレスを克服したとき感じる幸福感・達成感により分泌されるセロトニン・ドーパミンと言った脳内物質は免疫力をアップさせます。(ドーパミンは出過ぎると悪玉ホルモンに移行します)
悪性ストレスを受けると出てくる典型的なホルモンにコルチゾールがあります。
コルチゾールが多量にでると免疫力を低下させるだけでなく(NK細胞の活動を抑制する)、うつ病や血圧・血糖値を引き上げます。


研究2では、顎ずれ治療前・後で、悪性のストレスが長期間続く時にでるコルチゾール値が変化するか調べました。
方法は、丸山剛郎大阪大学名誉教授の指導のもと、くりもと歯科医院で顎ずれ治療を行った40名で術前、治療開始1ヵ月後、治療終了後の3回採血させていただきコルチゾール値を調べました。

結果発表する前に、コルチゾールについて少し専門的になりますが解説します。生体に強い侵襲やストレスを受けると、自律神経の中枢として重要な間脳の視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンが分泌され、これを受け脳下垂体からの副腎皮質刺激ホルモンの分泌が促されます。それにより副腎皮質からストレスに抵抗するコルチゾールというホルモンが分泌されます。
この視床下部(Hypothallamus)脳下垂体(Pituitay glang)副腎皮質のホルモン(Adrenal gland)の流れを英語の頭文字をとってHPA系と呼びます。


上記のHPA系が活性化するとストレスに対抗するホルモンが分泌され、その結果免疫力が高まり、コロナウイルス・インフルエンザなどにかかりにくくなり、アレルギー症状も改善します。

研究2の結果は、下記の図2をご覧ください。血中コルチゾール値が治療前に高すぎたグループは(赤色のラインで示しています)、咬合是正途中で(顎ずれ治療開始1か月後)すでに下がり始め、咬合是正約6か月後(顎ずれ治療終了後)には正常範囲に収束しました。

コルチゾール値が術前低かったグループ(青いラインで示しています)も治療開始1ヶ月から上昇し、顎ずれ治療終了時には、正常範囲にまで上昇しました。

術前に高い値を示したグループ、低い値を示したグループともに正常値の範内に収まりました。

(図2)
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分析は澤口俊之武蔵野学院大学大学院教授による

血中コルチゾール値が高いと、免疫力の低下により様々な病気への抵抗力が落ちます。その他にも血圧や血糖値を引き上げることに加え、うつ病や睡眠障害、記憶障害が高まります。NK細胞の活動も抑制され癌になりやすくなります。逆にコルチゾール値が低いと倦怠感、値血糖など元気が出ない状態となり、免疫力の低下につながります。要するにコルチゾール値が高い人、低い人ともに免疫力が低下しますが、顎ずれ治療により免疫力がどちらも高まることが証明されました。


今回の研究結果から高・低値ともに正常範囲になったということは、顎ずれ治療が、HPA系そのものを正常サイクルに働かす効果があることが分かった大変意義のなる研究でした。


HPA系の起点は、間脳と脳下垂体です。間脳は、自律神経の中枢で、脳下垂体からは、成長ホルモンや性腺刺激ホルモンが分泌されます。つまりHPA系の働きが良くなることは、自律神経の働きを高め、性ホルモンも十分分泌されるので、男性も女性も、もて力がアップすることになります。


今回の研究を総合しますと顎ずれ治療は免疫力上昇に止まらず、良質ホルモンの分泌、成長ホルモン、性ホルモンの促進や悪性ストレス時に分泌されるコルチゾールまでコントロールできるすごい治療法であるということが改めて証明されました。

まさに免疫力アップが叫ばれている現在、顎ずれ治療がウイルスから身体を守るために大変有効であると言えます。

顎ずれ治療は、人間の健康を維持するために大切な神経系、内分泌系、免疫系が連動して働きかけることのできる唯一無二の治療法です。

ぜひご自身の健康増進のために顎ずれ治療をお勧めします。