治療説明

咬み合わせは、なぜ大切なのでしょうか?
顎(あご)ずれ(ここでは、下あごのずれを意味します)が、様々な全身の不具合を起こします。いったいどのようなことが、我々の身体で起こっているのでしょう。
その背景についてお話します。

一言でかみ合わせと言っても、多くの意味を持ちます。出っ歯や、受け口、でこぼこの歯並び、上下の歯が斜めにかみ合っていたり、食物を食べる咀嚼運動が正しく動いていなかったりと様々です。実はこれらのすべてのことが、大なり小なり全身と関係します。

咬み合わせと全身の関連性の治療・研究は過去にも多くあります。たとえば、入れ歯を正しく作りかえると、足に力が入るようになった。などの話を時々耳にします。

当院で行っている、咬み合わせ治療(顎ずれ治療)は、歯や入れ歯の治療を行ったらたまたま、首コリ、肩こり、腰痛が治ったというものでなく、顎ずれ治療で、積極的に全身の症状を改善していく治療です。

どのような症状が、治療の対象になるのでしょうか?
頭痛、首コリ、肩こり、膝の痛み、腰痛、にとどまらず、めまい、うつ病、パニック障害、睡眠障害、不安神経症など心の問題の改善や顔のゆがみ・顔色の改善・姿勢の改善などの美容効果・アンチエイジング・認知症予防まで多くの症状に効果がある治療です。
(もちろんこれらすべての症状が消失するわけではありません。)
かみ合わせ治療の説明コーナーに、患者さんの感想も掲載していますので、ご一読ください。

始めて聞かれる方は、そんなバカな!と思われるかもしれませんが、現在当院では約20年間で600名以上の患者さんの治療を行ってきました。多くの患者さんより大変感謝されています。過去の統計より、2%の方で治療を中断された方がいらっしゃるのも事実です。
当院で行なう顎ずれ治療は、咬みあわせ治療の世界の第一人者で、大阪大学名誉教授
丸山剛郎先生が長年の研究・治療より考えだされたものです。

それでは、もう少し具体的になぜ顎の位置が、全身の健康に大切なのでしょう。
顎がずれると身体はどうなるのか?をお話します。

その背景は約600万年前、大昔にさかのぼります。
類人猿から人に進化したことに始まります。樹林帯で生活していた類人猿が地上におり、木にぶらさがっていた前足が手に変化し、2足歩行になったことで、頭がからだの真上に位置するようになりました。

このことで、脳が前後に発達しやすくなり、手・指を使うことで、さらにたくさんの刺激が脳にいき、脳が発達するにつれ知能の向上に繋がりました。

類人猿の脳重量は、400gで、ヒトは1350gと約3倍の発達に伴い頭の総重量は約6キロの重さになりました。5キロのお米袋を数分間持っているだけでも手がしびれてきますよね。地面から一番高いところに重い頭が位置したことで、バランスが取りにくくなりました。約150センチ〜170センチのポールの上に、図2のように13ポンドくらいのボールング球がのっている状態をイメージして下さい。ヒトは立ち上がったことで、大変不安定な状態になってしまったのです。
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ここで下顎の登場です。
下顎は身体の重心を安定させるバランサーの役目を果たすようになりました。
えっ!!何それ? という感じだと思います。

下顎は抗重力筋である側頭筋という筋肉によって、ブランコのように頭の骨からぶら下がっています。
普段は、上下の歯は、食物を咀嚼したり、嚥下といって食物を飲み込む時以外は、かみ合っておらず、2〜3个垢い疹態で生活しています。
このぶらさがっている事が、ポイントになります。
地面から一番高いところにある約6キロの頭が歩いたり、走ったりする時、ひとかたまりで揺れたら、からだは前後左右に大きくゆれます。
2足歩行といっても、歩く時は、1足、1足で歩きます。たとえば、右足にのったとき頭は右に傾きますが、ぶら下がっている1キロの重さの下顎は左に跳ね返り、からだ全体が右に流れるのを防いでいます。そもそも下顎を支配する下顎神経の中に体性感覚機能(身体の重心バランスに働く)を持ち合わせているのです。
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この理論が現在の建築にも応用されています。
現在、タワーマンションが流行しています。超高層ビルの耐震システムとして、地震の際など大きな振動エネルギーを吸収するため、ビルの屋上付近に、振り子状の動きをする巨大な重りをぶら下げています。地震が起こった時に、この振り子が建物と逆方向に振れることで、振動エネルギーを吸収する仕組みとなっています。高さ220メートルのビルの場合、8メートルの振り子の長さで、重りの重さはビルの重量の3%をつるしているそうです。 実は高層ビルの耐震システムの比率とヒトの身長と下顎の重さの比率が良く似ているそうです。
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 下顎は、生命維持のために野菜からお肉まで幅広く食物を咀嚼できるように、またコミュニケーションツールとしての発語が容易に出来るように自由に動ける特徴があります。その反面、サルや類人縁の時に比べて、下顎の位置がずれやすくなってしまいました。

どうして顎ずれが起こるのでしょうか?
顎ずれの原因は、多数あります。最も多いのは歯並びの悪さです。そのほかに、形のよくない被せ物・あっていない義歯を長期使用したり、歯が抜けたまま放置するなどで、簡単に顎ずれが起こります。生活習慣も大切です。頬杖をついたり、寝相(特に、いつも同じ方の下顎を枕の上にのせて寝ている場合)、TVを見る位置、PC・ゲームをするときの姿勢など様々なあやまった生活習慣で簡単にずれてしまいます。

下顎がずれるとどうなるでしょう?
本来バランスを取るはずの約1キロの重さの下顎がずれると、この重さで頭を引き倒しにかかります。
こうなると脳は「おい、頭が不安定だ、頭を持ち上げろ!」と頭を支えている首の筋群に命令を送り、6キロの頭が傾かないように、首の筋肉を緊張させ頭位の安定を図ります。

首コリ状態が長時間続くとどうなるでしょう?
首の筋肉の下層部には脳に栄養と酸素を送り、脳の老廃物(アミロイドβなど、ちなみにアミロイドβはアルツハイマー型認知症の原因物質です。))や二酸化炭素などを肺に運ぶ、頚動静脈が走っています。(図4)
これが圧迫され脳に栄養が届かず、脳が正常に働かなくなるばかりか、脳細胞がどんどん死滅していきます。

正常な脳血流量は1分間に750CCから800CCが脳内に栄養と酸素を運んでいます。脳は体重の2%の重さですが。全血液の20%を消費しています。
脳は、精神、ホルモン、免疫、自律神経、運動など我々の身体と精神をコントロールする中枢ですから、ここに栄養と酸素が届かないのは、多くの脳関連障害が出ることは容易に想像できますね。


首の筋肉の下層の総頚動脈から分かれて、顔と頭皮に栄養を送る外頚動静脈があります。
これは、顔や頭皮に栄養と酸素を運ぶ血管で、首コリが取れることで、顔色がよくなったり、髪の毛が増えるということも理解できると思います。
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全身的にはどのような変化が起こるでしょう?
6キロの頭が傾こうとする状態が続くと首の筋肉が疲労し、頭を支えている骨の頚椎が曲がって(配列異常)きます。その乱れは、やがて肩、胸椎、腰椎へとゆがみが波及していき、脊柱がゆがんでしまいます。この周りに付着している筋肉は、当然緊張し、やがて痛みを起こしていきます。

重心バランスも変化してきます。本来左右の足は、50対50で上半身の体重を支えていますが、上記の傾きが起きると股関節・膝関節に、40対60と支えるバランスが狂ってきてしまい、股関節、膝に痛みが起こります。
脊柱からは、多くの脊椎神経が出ていることから手足のしびれなども起こりますし、骨格系にも様々な症状が出ることは容易に予想がつきます。(図5)

まとめますと、咬み合わせ治療とは、顎のずれを治して、本来の人間の形に戻し、薬や手術を受けることなく、ヒトが持っている本来の機能を引き出す治療となります。

各症状がなぜ治るかは、私たちが治療過程で行う検査から得た研究結果より次の機会に具体的にお話しします。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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